邑遊自適~好蟻性的俺~

昆虫(アリ)を中心に、たまにしょうもない趣味を綴っていく日記。 笑いなしオチなしでの~んびりやっとります。コメントやリンクも大歓迎です(リンクの際はご一報ください)。画像の無断転載はお控えください。

現在、採集した日本産アリ類(2014~)は159種(雌81種,雄42種)!!! 全てのアリをこの目に焼き付ける!!!

カテゴリ: アリ

今週、お隣の香川県のアリの研究室にお邪魔してきた。
四国でアリの研究をされている研究室はこちらしかなく、私もアリ好きということで採集会や四国支部会ではいつも仲良くしていただき、アリとは疎い研究室にいるとなかなか知ることのできない情報を教えていただいた。
そしてお会いするたびに、"いつか行ってみたいです"と言っておきながら気づけば4年生になってしまっていた。

4年になり、教育実習を終えて、昆虫展を終えて、学会を終えて、やっと、やっと時間ができた。
ついに念願叶い、香川へ。松山からバスで2時間45分、同じ四国といえど、松山は西の端にあるのでどの県の県庁所在地に行くにも遠い。高松駅に着くと、その都会さに驚く。
松山は人口50万人、たしかに四国最大人口を誇るが、面積も広く、人口密度的には変わらない。しかも、高松駅の近くは栄えている!
高いビルが建っているではないか!すごいぞ!しかもなんか綺麗だ。緑があって、空間があって表現しにくいけど綺麗だ。
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待ち合わせの時間まで採集することにしていたので、電車で揺られて30分強、少し田舎へ。昼ご飯をカフェでのんびり食べているともう2時間しかないではないか。なんと阿呆な…。
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無人駅にもICカードでピッとできる機械がある。地元の福岡より進んでる。
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よそ者なので、券売機にとてもお世話になった。

途中の神社を経由し、急いで山へ登る。この場所はアクセスがしやすいということを大学の方にうかがっていたのだ。
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採集を始めると、何も考えていなくても乾燥していることに気付かされる。
リターを篩えば、パサパサの土が落ちてくる。こんな環境で100種類も採るなんて……香川の皆さんの努力と才能を感じた。自分は愛媛の恵まれた環境(石鎚のような高標高地から愛南町のような南方まで)でぬるま湯に浸かっていたのだ…と痛感した。
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ルリルリ(Ochetellus glaber)。山の中にもいて、多かった。
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甲虫は少なかった。
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結局、まともなのはセダカウロコ(Strumigenys hexamera)くらい。
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アオスジハナバチ(Nomia punctulata)が採れたのは少し嬉しかった。愛媛ではあまり見かけないが、こちらではたくさん飛んでいた。

余談だが、篩いを始める直前に捕まえたオオモンクロベッコウ(Anoplius samariensis)を毒ビンに入れるために使ったピンセットがどこに行ったか分からなくなり、バットの虫を吸虫管で吸う羽目になって土をいっぱい吸いこんでしまった。
オオモンクロとピンセットでは割に合わないよ…。

採集を終え、大学へ向かう。ついに、お部屋にお邪魔する。広がっていたのは……


まさに天国!ここに書き出すとものすごい文量になってしまうので省くが、すごかった。すごかった。
更に、先生の標本も見せて頂き、文献の別刷りまでいただいた。夜は飲み会を開いていただき、あたたかく迎え入れてくださった先生と学生さんたちと、楽しく時を過ごすことができた。珍しくビールを飲んでも平気だった。

結局一日目は学生さんたちとアリのお話をさせていただいているうちに夜が明け、7時ごろ学生さんのお宅に着いて仮眠をとった。

2日目は採集に燃えたのだが、スズメバチやらカやら大変だった。その後お体はいかがでしょうか。


あっという間に帰る時間となり、もっと居たかったと惜しみつつ皆さんとお別れした。
帰りのバスまで時間があったので、少し駅前を散策。
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高松にもあった。松山・高知・徳島フルコンプだ。いつも思うけど表示するには遠すぎるでしょ。
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高松駅前。もう夕方で採集できなかったのは残念だったが、高松の雰囲気を少しだけ味わえた。
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あなご飯を食べて帰宅。帰りは少し寝てしまって松山まで一瞬だった。

とても楽しく、もしよければまた訪れたい。いい2日間を過ごせて、心も体もリフレッシュできた。
まるで身内のようにあたたかく迎え入れてくださった研究室の皆様、本当にありがとうございました。
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クシケアリの巣を求めて高い高い山へ登ったときのこと。
クシケ、いないかなぁ、と石をひっくり返しながら登山客に怪しまれながら歩いていく。
薄暗く、少し湿った斜面に大きな石が二つあった。これは何かいるぞ…期待を膨らませてよっこいしょ。
めくった瞬間に飛び込んできたのは、

アシナガアリ(Aphaenogaster famelica)。外れだ…がっかりして石を戻そうとしたとき、視界の隅に黄色い煌めきが見えた。
ん?よく見るとけっこういる。そして、アシナガアリと揉めている。
これは…!
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黄色いケアリだ!この仲間は土中営巣種とされているが、これまで友人が朽木中から捕まえたヒメキイロケアリ(Lasius talpa)、昨年この山を訪れた際にリター中から一頭だけ見つけたミナミキイロケアリ(L. sonobei)など、どれも土の中に巣があるという実感を得られなかった。しかし、今回は土の中からわらわら出てくる。まさに土中営巣。そしてコロニーということは…これは期待できるぞ。
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アシナガアリと揉める黄色いケアリ。複数種のアリが同じ石の下にコロニーを作っていることはけっこうあるが、なぜかその時点ではうまく付き合えている。人間によって石を取り去られると、隣人関係が崩壊してしまう。不思議な光景だ。

リターを掬う用のスコップで土を掘っていく。本来の用途で使われてスコップも嬉しそう。
そういえば、ひっくり返した石の隣にもう一個大きめの石がある。少し深めに刺さっている。抜こう。
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やった!あたり!黄色い煌めきがあちこちに。
よく見ると、羽っぽいものが見える。これはもしや…
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やった~!羽アリゲット!そういえば、黄色い系のケアリは秋に飛ぶんだっけ。雄も雌も大漁だ。
いくつか100%エタノールに入れ、DNAを調べる用も確保。あとは好きに吸い込んでいく。
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さぁ、同定だ。見る限り立毛は殆どなくて、光を当てると伏毛でキラキラしている。ヒメではないな。
あとは複眼の大きさだが、これはその場では確認できなかった。大きめのキイロケアリ(L. flavus)も結構小さい。
観察して写真を撮るのが楽しみだ。

※追記
ミナミキイロケアリ(L. sonobei)だった。キイロケ(L. flavus)でなかったのが残念だったが、コロニー採集できたことを考えるとかえってよかったかもしれない。
かつて対馬で採集した女王と見比べて、同定ができるかもしれない。答え合わせはワクワクする。
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aritake
ムネアカオオアリ(Camponotus obscuripes)の首筋からニョキっと伸びているものがある。恐らくアリタケの何かだろう。
この菌類は日本ではムネアカオオアリを寄主としているのをよく見かける。山地に多いアリなら他にもいるだろうに。そういえば、アシナガアリ(Aphaenogaster famelica)の女王に寄生している菌類は一度見かけたなあ。種類が違ってそうだが、寄主特異性があるのだろうか。

この個体は木にがっちり食いついていて、なかなか離れなかった。寄主操作されたいたのだろう。
ところでこの個体、前胸が黒っぽく見えるが、そういえばこの山にはニシムネアカオオアリ(C. hemichlaena)も生息していることが知られている。大型ワーカーでもないし、こやつがどっちだったかはこの状態では判断するのは難しそうだ。
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チクシトゲアリ(Polyrhachis phalerata)。今は"もえすた"じゃないんだ…。
秋に飛ぶ。まさかの玄関先の壁にいた。少し林的な環境にいると思っていたが、周りにはそんな場所しばらくない。唯一考えられる場所では、この種類は得られていない。ふーむ、けっこう遠くまで飛べるのかな。

※追記
市街地で得られるチクシトゲに関する文献が見つかりました。ここでも結婚飛行で遠い生息地から飛んできたのではと考察されています。
亀山剛,2000.チクシトゲアリの羽アリ飛出時期についての記録.比婆科学,197:189.

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ウロコアリ(Strumigenys lewisi)。夏から秋にかけて飛ぶ。ウロコアリのようなハンター顔のアリに翅が生えているとなんだか不思議だ。ParaponeraMyrmeciaの有翅女王を見たのと同じ感覚に陥る。こいつらも創設時は自分で狩りをするのだろうか。
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ダルマアリ(Discothyrea sauteri)。翅付は初めて見た。というか女王自体初採集だった。秋に飛ぶのだろうか。翌年の春に飛ぶ種類は、秋ごろに羽アリを生産している種類もいる。早いところではアメイロアリ(Nylanderia flavipes)なんかはもう完全に成虫になっている。

なぜマイナー編からなのか。メジャーどころを全然捕まえられていないのだ。こっちじゃまだキイシリ飛んでません。
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世間がヒアリ(Solenopsis invicta)やアカカミアリ(S. geminata)の侵入で揺れる中、小さく、人を刺すこともなく、目録に載っててもさしてコメントもされないような外来種のアリが四国に侵入したことが報告された。
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英語で"ghost ant"と呼ばれている、アワテコヌカアリ(Tapinoma melanocephalum)。1.5mmと極小で動きは超素早く、他のアリだとサクラアリ(Paraparatrechina sakurae)にとても似ている。
似ているアリがいるとは言うが、頭は黒、他の部分は淡い黄色という独特のカラーリング。日本に棲む他のアリとはだいぶ雰囲気が違う。それもそのはず、このアリは元々日本には生息していなかった種類。
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しかしヒアリやアルゼンチンアリ(Linepithema humile)が南米原産とはっきり分かっているのに対し、このアリは世界に広がり過ぎて原産地が分からないという。そのくらい全世界で見られるアリだが、他の外来アリと比べそんなに問題にはなっていない。家屋害虫になるくらいには建物に侵入したり人間の生活圏に入り込みはするらしいが、特に刺すわけでもない。これなら同じ家屋害虫のヒメアリ(Monomorium intrudens)の方がよっぽど迷惑だ。そんなこんなで体色と比べて地味な扱いのアリ。

暖かい地域に多いアリなので、日本では沖縄や九州南部、あとは植物園だとか都会の建物の中だとかで見つかっていた。
このブログでも、沖縄で採集した本種の写真を上げている(石垣島採集記②参照)。
Tapinoma melanocephalum-H
頭部が黒いので、遠目からだと複眼が見えにくくなんだかのっぺらぼうのようで不気味な感じ(そもそも肉眼だと二色の粒が動いてるくらいにしか分からないが)。
melanocephalum-d
今回報告されたのは、大学のキャンパス。外来アリの多くは初め物流の多い港や空港で見られることが多いが、このような研究機関でも、様々なモノが運ばれる。今回はそれについてきたんだろう。自分も遠方に採集に行き、そこで使用した採集道具を持ち帰ってからも使うことは当然ある。そのとき、こんな幽霊を一緒に持って帰らないようにしなければ。

四国での報告は、
久末遊,2017.アワテコヌカアリを四国で採集.蟻,(38):27-30.
に載っている。
ネット上にはPDFもタイトルも出回っていないので書き留めておく。

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