邑遊自適~好蟻性的俺~

昆虫(アリ)を中心に、たまにしょうもない趣味を綴っていく日記。 笑いなしオチなしでの~んびりやっとります。コメントやリンクも大歓迎です(リンクの際はご一報ください)。画像の無断転載はお控えください。

現在、採集した日本産アリ類(2014~)は159種!!!全てのアリをこの目に焼き付ける!!!

カテゴリ: アリ

世間がヒアリ(Solenopsis invicta)やアカカミアリ(S. geminata)の侵入で揺れる中、小さく、人を刺すこともなく、目録に載っててもさしてコメントもされないような外来種のアリが四国に侵入したことが報告された。
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英語で"ghost ant"と呼ばれている、アワテコヌカアリ(Tapinoma melanocephalum)。1.5mmと極小で動きは超素早く、他のアリだとサクラアリ(Paraparatrechina sakurae)にとても似ている。
似ているアリがいるとは言うが、頭は黒、他の部分は淡い黄色という独特のカラーリング。日本に棲む他のアリとはだいぶ雰囲気が違う。それもそのはず、このアリは元々日本には生息していなかった種類。
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しかしヒアリやアルゼンチンアリ(Linepithema humile)が南米原産とはっきり分かっているのに対し、このアリは世界に広がり過ぎて原産地が分からないという。そのくらい全世界で見られるアリだが、他の外来アリと比べそんなに問題にはなっていない。家屋害虫になるくらいには建物に侵入したり人間の生活圏に入り込みはするらしいが、特に刺すわけでもない。これなら同じ家屋害虫のヒメアリ(Monomorium intrudens)の方がよっぽど迷惑だ。そんなこんなで体色と比べて地味な扱いのアリ。

暖かい地域に多いアリなので、日本では沖縄や九州南部、あとは植物園だとか都会の建物の中だとかで見つかっていた。
このブログでも、沖縄で採集した本種の写真を上げている(石垣島採集記②参照)。
Tapinoma melanocephalum-H
頭部が黒いので、遠目からだと複眼が見えにくくなんだかのっぺらぼうのようで不気味な感じ(そもそも肉眼だと二色の粒が動いてるくらいにしか分からないが)。
melanocephalum-d
今回報告されたのは、大学のキャンパス。外来アリの多くは初め物流の多い港や空港で見られることが多いが、このような研究機関でも、様々なモノが運ばれる。今回はそれについてきたんだろう。自分も遠方に採集に行き、そこで使用した採集道具を持ち帰ってからも使うことは当然ある。そのとき、こんな幽霊を一緒に持って帰らないようにしなければ。

四国での報告は、
久末遊,2017.アワテコヌカアリを四国で採集.蟻,(38):27-30.
に載っている。
ネット上にはPDFもタイトルも出回っていないので書き留めておく。

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この日の夜はとてもむし暑く、それでいて風は全く吹いていませんでした。こんなコンディションの初夏の夜には、いくつかのアリが結婚飛行を行います。ベストなタイミングを逃す手はない。よし、出かけよう。
決心したのが夜中の1時。正直行くか迷いましたが、行かずに後悔するより行って後悔しろ、と何かが叫んだのでヘッドライトと吸虫管を手に、自転車のペダルをこぎ始めました。

5分ほどで目的地に到着。真夜中なので灯りは少なく、ポツポツと等距離に置かれた電灯に虫が集まっています。
電灯の光だけでは弱いので、持ってきたライトで照らします。
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きてるきてる。ハヤシケアリ(Lasius hayashi)です。オスは見られませんでしたが、有翅女王はかなりの数見られました。たまに写真のように淑女の集まりを開いているものもいます。
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これはアシナガアリ(Aphaenogaster famelica)の女王。実は翅があるものは初採集でした。ハヤシケアリより大きく立体的です。この場所には似た姿のヤマトアシナガアリも生息していますが、結婚飛行の時期がアシナガよりもだいぶ遅い(9月頃)ので判別できます。
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ハヤシクロヤマアリ(Formica hayashi)。夜でもおかまいなしに活動しています。アリは日中活動して夜は巣の中でひっそり…というイメージがなんとなくありますが、わりと日中活発に活動している種も元気にうろついています。うろついて何をしているかというと…
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これです。飛行があるということは、大量の餌が現れるということ。これはクロオオアリ(Camponotus japonicus)ですが、電灯の周りをうろついて、ハヤシケアリの女王を捕らえました。女王は栄養満点でしょうね。
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こちらではキイロオオシワアリ(Tetramorium nipponense)が同じくハヤシケアリの女王を襲っていました。たくさんの羽アリが巣を作るために飛び立ちますが、巣作りのスタートラインに立つことができる個体でさえ極少数です。
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さきほどアリは昼も夜もかまわず活動する、と書きましたが、夜の方が活発な種もいます。このキイロオオシワアリやキイロシリアゲアリ(Crematogaster osakensis)は、日中よりも多くの個体が、日中よりも目立つところを活発に歩いています。2種とも夜行性とは言われていない(はず)ですが、なんとなく夜の方が元気な気がします。実際に夜行性が知られる種としては、ミカドオオアリ(Camponotus kiusiuensis)やアメイロオオアリ(C. devestivus)などがいます。これらの種類を比較するといくつか共通点が見つかってきます。パソコンに向かって論文を読みながら考えるのも良いですが、こうやって実際のフィールドで観察したことからああだこうだ考えるのも楽しいものです。

結局ハヤシケアリとアシナガアリ、それとオオハリアリ(Brachyponera chinensis)の3種しか飛行を確認できませんでしたが、久しぶりの夜の蟻探しに、必死にアリを探していたころの感覚を思い出しました。頑張らないと。
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先日甲子園へ母校の応援に行った日、帰りのバスまで時間があったので少し気になる場所へ行ってきた。
阪神電車からポートライナーに乗り換え、適当なところで降りる。目標は、人工島で大量に居ると聞いていた。三月の下旬、まだようやく虫たちが活動を始めるくらいの季節。しかも肌寒い曇りの午後だったが、そいつらなら間違いなくいるだろう。

しばらく歩くと、早速見つけた。といっても目的の虫ではなく、日本在来のもの。トビイロシワアリ(Tetramorium tsushimae)やムネボソアリ(Temnothorax congruus)が、こんな寒さにも関わらず一生懸命歩いていた。
だいぶ歩いた。途中おじさんに道を訊かれてビックリしたが、訊かれたのがさきほど降りた駅だったので助かった。にしても、全然いないじゃないか!うーん、まだ寒いから出てないのかな、場所が悪いのかな…。

少し雨が降り出してヤな感じになってきたとき、道路脇のアスファルトに行列が。
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これか…?この色、間違いない。こいつか…。
初対面はこんな反応だった。もっと"おおおおおぉぉぉぉおお!"みたいな感じになると思っていたが、意外とあっさり。
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アルゼンチンアリ(Linepithema humile)。言わずと知れた外来種、アリの中では虫屋、一般人問わず知名度が高い。もはや説明不要の侵略的外来種の本種は、人や物資の移動にくっついて世界に広がり、日本では1993年に広島で初めて見つかって以降日本各地で確認されている。日本では特定外来生物に指定され、世界的には世界の侵略的外来種ワースト100に選ばれるなどブラックリスト入りを果たしている。人工物に入り込む、農作物を弱らせる他、なんといっても同じ場所にすむ他種のアリを駆逐することが問題となっている。この辺はネットや本の方がはるかに詳しいのでそちらを参照ください。
参考文献
環境省自然環境局野生生物課外来生物対策室,2013.アルゼンチンアリ防除の手引き.78pp.

で、アリ屋としてこのアリに出会って思ったことは、イメージとだいぶ違ったな、ということ。アルチンを語るときに実際見たこともないのに知った風に語っていたことを恥じた。
本やネットで見て感じていたこれまでのイメージは、"アルゼンチンアリは小さく、素早く、ルリアリやアミメアリに似ている"みたいなものだった。
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左がアルチン、右がトビシワ。
まず大きさ。2mmくらい、小さい、みたいなイメージだったので、同じくらいのニセハリ(Hypoponera sauteri)とかウロコ(Strumigenys lewisi)程度の大きさをイメージしていたが、全然違った。わりとデカい。これは、コヌカ(Tapinoma saohime)もそうだがそのうに餌を貯めるとだいぶ腹部が伸長して図鑑の表記より大きく見える。トビシワと並べたが、同じくらいだ。アリ屋的には、まあまあ普通サイズだ。
次に、動き。これは早春で気温が低かったことが関係しそうだが、けっこうのろまだった。イメージとしてはアワテコ(T. melanocephalum)くらいワチャワチャしてると思っていたが、そんなことなかった。
最後に、似ている種。アミメはともかく、ルリアリは亜科も同じだし遠目からだと間違うかも…とか不安に思っていたが、杞憂だった。全然似てないよ!普通の人はともかく、アリ屋なら間違うことはまずなさそう。出会うまではサクラアリも少し似てるかも…とか思っていたが、色は少し似ていても、大きさも動きも全然違う。今後コイツが目に入ったら一発でアルチンと分かるはずだ。

本種はまだ四国では徳島で食い止められているが、いつ他県に入ってくるか分からない。入られたらどうするかよりも入られないためにどうするかを考え、行動に起こしていかなければならない。

※上の意見はアリ屋としてのものです。虫屋でもアリなんか興味ないしよく分からんなぁ…という方や、虫のこと全然分かんないという一般の方は安易に同定しないようにしてください。誤同定はかえって混乱を招きます。しかし、心配に思ったらその地域の自治体や関係機関に連絡することをおすすめします。参考文献の防除の手引きは同定の方法も載っているので、そちらもご参照ください。
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冬はネタが少ないので昨年のアリで一つ。
Aphaenogaster rugulosa-H
これ系の顔はよく見ます。アシナガ系。でも、これは特にシワの多い顔。
Aphaenogaster rugulosa
ヨナグニアシナガアリ(Aphaenogaster rugulosa)。与那国島固有のアリ。昨年与那国島を訪れた友人が捕まえたもの。女王も採れており、こちらの方も写真を撮っておきたいところ。

種小名の通り頭部と胸部にシワが多く、特に前胸背板全体をぐちゃぐちゃしたシワが覆う。シワの多い、黒っぽいヤマトアシナガ(A. japonica)のようなイメージ。与那国島にはもう一種クロミアシナガ(A. donann)がいるが、こちらは頭が長くアシナガ(A. famelica)っぽい。アシナガは南の方では島ごとに種分化していて、姿かたちはどれも似ているが、島ごとに楽しみがある仲間。個人的には黄色っぽい奴らを採ってみたい。
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アリ相の調査について書かれている報告をいくつか見ていくと、どの調査でも毎度毎度採れている種類がいることに気付く。例えばアメイロアリ(Nylanderia flavipes)であったり、クロヤマアリ(Formica japonica)であったり、トビイロケアリ(Lasius japonicus)であったり。
もう2年以上もアリを追いかけているので、この辺の種はどこに行っても採れるし、やっぱり普通種なんだなと実感させられる。
しかし、報告ではよく採れていると書かれているのにずーっと採ることができない種がいた。
Temnothorax spinosior-H
ハリナガムネボソアリ(Temnothorax spinosior)。ムネボソアリの仲間で、どうやら平地の開けた環境に多いらしい。結構な数の報告で、結構な数採れている。北方系というわけでもなく、四国や九州でもきちんと採れている。ネット上にもたくさん写真は落ちている。しかし、うーん、見たことがない。それまでアリ採集と言えば適当なルッキングと篩いをやっていたので樹上性でもない本種を採ることができないのは何かおかしいと思っていた。
初めて本種を見たのは昨年の初夏、大学構内で先輩が採ってきた虫の中に入っていた。
Temnothorax spinosior
ムネボソアリ(T. congruus)より少し小さくて、前伸腹節刺はムネボソより随分長くてかっこいい。早速採れたときの状況を聞いたが、こんなちっちゃい虫を採ったことなど記憶にあるはずもなく…どんなところにいたのか不明なまま数か月が過ぎた。

11月、寒い中いつもの調査場所で採集していたときのこと。たまにはルッキングでもしてみるかなと地面に目を向けたとき、それは歩いていた。黒くて小さなアリ。パッと見トビイロシワアリ(Tetramorium tsushimae)に見えたが、なんか細い。歩き方もちょっと違うような…。
一応吸ってみるか、と吸虫管で採集しよーく見ると…トゲ!!トゲがある!(トビシワの前伸腹節刺は非常に短い)黒くて、小さくて、地表を歩き、目に見えるほどのトゲが生えている…間違いない!
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これがハリムネ!!!やっと採れた!
周りをよく探すと、トビシワに紛れてポツポツと見つかる。結局10数頭を採集し、満足顔。ついに"普通種"をコンプリートしたんだという満足感からであった。
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全身真っ黒に見えて意外とオレンジっぽい部分も多い。

今年になって他の場所でもちょこっとずつ採れるようにはなったが、まだまだ普通種という程には採れていない。少ないと書いてあることもあるヒラタウロコ(Strumigenys canina)の方が、20倍くらい採れてるよ。私が採集下手だからか、採集方法が悪いのか。
この子が普通種と呼べるようになるには、まだまだ修行が必要である。

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