邑遊自適~好蟻性的俺~

昆虫(アリ)を中心に、たまにしょうもない趣味を綴っていく日記。 笑いなしオチなしでの~んびりやっとります。コメントやリンクも大歓迎です(リンクの際はご一報ください)。画像の無断転載はお控えください。

現在、採集した日本産アリ類(2014~)は162種(雌86種,雄48種)!!! 全てのアリをこの目に焼き付ける!!!

カテゴリ: アリ

アリからのメッセージ 今井弘民 著 1988 裳華房 176pp.

引っ越し中,廃棄処分になるところを引き取った.
80年代後半に出た本らしいが知らなかったので,通学の時間を使ってだいたい1週間くらいで読み終えた.
内容は海外調査の思い出と研究内容の説明,保守的なお年寄りに研究を認めてもらえない嘆きと気鋭の若手研究者への批判で構成されていた.差別用語の多さは時代のせいか.

自分が(僅かながらも)勉強してきた分野と全く違う畑の方のお話だったので,とても興味深かった.対象一つとっても,色んな捉え方があることを知った.手軽に読めるのも良かった.
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ケブカアメイロアリ(Nylanderia amia)はたくさん生える剛毛が特徴的なアリで,沖縄では普通に見られる.
Nylanderia amia
動きを見ても南のアリ感が強いが,本土でも記録されていて,特に2010年代以降の記録が目立つ.四国では未記録だが,いつ見つかってもおかしくないのでメモ用に本土部(一部離島含む)の文献記録をまとめておく.
IMG_7268s
※記録が多い地域(というか鹿児島)は全部は拾っていません.余裕があれば持っている限り拾います.細かい日付や採集地について言及がない場合(学研の塗り絵など)は後ろに*をつけてます.
東日本はもっと古いものや引用しやすいものなど抜けがあるかもしれません.西の民なのでご了承ください.

東京都(寺山,2009*;寺山ほか,2014*)
 東京港(環境省自然環境局,2011; 矢澤,2016;Sakamoto et al., 2016;環境省,2017)
 
神奈川県(寺山,2009*;寺山ほか,2014*)
 横浜港(環境省自然環境局,2010,2011)

静岡県(寺山ほか,2014*)

愛知県(寺山,2009*;寺山ほか,2014*)
 名古屋市(文献見つけられず)

京都府
 京都市伏見区(中嶋ほか,2013;中嶋ほか,2013;中嶋ほか,2016)

大阪府(寺山,2009*;寺山ほか,2014*)
 大阪城公園(増井,2016)
 大阪港(環境省自然環境局,2011)

兵庫県(寺山,2009*;寺山ほか,2014*)
 芦屋市(増井,2014)

広島県(寺山ほか,1994*;寺山・木原,1994*;JADG, 2003*;寺山,2009*)
 広島市(寺山ほか,2014*)
  平和大通り(頭山,1996)
  安佐南区八木(亀山・中村,2011)
  東区光町(亀山,2003)
  東区戸坂安芸大橋(亀山・中村,2011)
  西区福島町(亀山・中村,2011)
  南区元宇品(亀山・池永,2012)

山口県(寺山,2009*;寺山ほか,2014*)
 岩国市(辻,2018)
 柳井市(辻,2018)
 光市(辻,2018)
 周南市(辻,2018)
 宇部市(辻,2018)

福岡県(JADG, 2003*; 寺山ほか,2014*)
 北九州港(環境省自然環境局,2011)
 博多港(環境省自然環境局,2011;原田ほか,2017)

宮崎県
 宮崎市(那須,2008)※こちらは未見です

鹿児島県(寺山ほか,1994*;寺山・木原,1994*;JADG, 2003*)
 鹿児島市(寺山ほか,2014*)
 串木野港(原田ほか,2013)
 鹿児島港(原田ほか,2013)
 谷山港(原田ほか,2013)
 枕崎港(原田ほか,2013)
 山川港(原田ほか,2013)
 桜島(藤田ほか,2017)
 神造島(金井ほか,2013)
 屋久島(JADG, 2003*; 細石ほか,2009;原田ほか,2013)
 種子島(原田ほか,2013)

本土の記録は
関東1都1県,東海2県,近畿2府1県,中国2県,九州3県の計12都府県.
他にもご存知の方がいらっしゃいましたらご教示くださると幸いです.


○引用文献
藤田祥帆・佐々木菜緒・下園 桜・原田 豊,2017.桜島溶岩地帯のアリ― 遷移にともなうアリ群集の変化―.Nature of Kagoshima,43: 287-294.
原田 豊・藤田祥帆・田神沙羅,2017.九州北部の港のアリ―外来アリのモニタリング―.日本生物地理学会会報,71: 39-46.
原田 豊・福倉大輔・栗巣 連・山根正気,2013.港のアリ―外来アリのモニタリング―.日本生物地理学会会報,68: 29-40.
亀山 剛,2003.広島県アリ類分布資料(1).比婆科学博物館研究報告,(42): 65-73.
亀山 剛・池永宣弘,2012.広島県アリ類分布資料(2).比婆科学博物館研究報告,(53): 59-64.
亀山 剛・中村慎吾,2011.広島県太田川の昆虫類 2007年の調査結果.比婆科学博物館研究報告,(52): 45-203.
金井賢一・福元正範・榊 俊輔・東 哲治・藤崎琢郎・竹 浩一・南田いずみ,2013.2012 年8 月霧島市神造島(辺田小島・弁天島)の昆虫調査.Nature of Kagoshima,39: 99-103.
環境省, 2017. 特定外来生物の重点的防除対策のための手法開発.環境省環境研究総合推進費終了研究等成果報告書,117 pp.
環境省自然環境局,2010.平成21年度外来生物問題調査検討業務報告書,119pp.
環境省自然環境局,2011.平成22年度外来生物問題調査検討業務報告書,162pp.
増井啓治,2014.芦屋市の街区公園におけるアリ類.Humans and Nature, 25: 99-104.
増井啓治,2016.大阪城公園のアリ相.Nature Study, 62 (1): 2-4.
中嶋智子・分銅絵美・片山哲郎・関 誠一・横田 景・福浦祐介・越智広志・山田一成・原田克也,2016.3種類のトラップ法による京都府保健環境研究所構内のアリ種リスト.京都府保険環境研究所年報,61: 46-52.
中嶋智子・関 誠一・片山哲郎・鵜鷹圭三・川原崎功・越智広志,2013.保健環境研究所構内のアリ種リスト.京都府保険環境研究所年報,58: 47-50.
中嶋智子・関 誠一・鵜鷹圭三・片山哲郎・川原崎功・越智広志.2013.単位時間調査法を用いたアリ類の定量調査への適用.環動昆,24 (2): 39-50.
那須尚子,2008.宮崎市でケブカアメイロアリを採集.タテハモドキ,44: 31?
日本産アリ類データベース作成グループ(JADG),2003.日本産アリ類全種図鑑.196pp., 学習研究社,東京.
Sakamoto, Y., Mori, H., Ohnishi, H., Imai, H., Kishimoto, T., Toda, M., Kishi, K., Goka, K., 2016. Surveys of the ant faunas at ports of Tokyo Bay and the Ogasawara Islands. Applied Entomology and Zoology, 51: 661-667.
寺山 守,2009.アリハンドブック.80pp., 文一総合出版,東京.
寺山 守・木原 章,1994.日本産アリ類県別分布表.63 pp., 日本蟻類研究会,東京.
寺山 守・久保田敏・江口克之,2014.日本産アリ類図鑑,278pp., 朝倉書店,東京.
寺山 守・緒方一夫・崔 柄文,1994.日本産アリ類都道府県別分布表.蟻,18: 5-17.
頭山昌郁,1996.広島市のアリ類.広島虫の会会報,(35): 5-10.
辻雄介,2018.山口県におけるアリ科の分布調査.豊田ホタルの里ミュージアム研究報告書,(10): 11-49.
矢澤 佑,2016.小笠原諸島への外来種侵入のリスクに関する研究 東京港におけるアリ類に注目して.世界遺産学研究,1: 86-89.
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自分用も兼ねたメモ.

ハダカアリCardiocondyla kagutsuchiとされていた種は,寺山ら(2014)にカドハダカアリ,トゲハダカアリ,ヒヤケハダカアリの3種に分かれていることが書かれていた.これはOkita et al. (2013)の研究結果を元にしていると思われるが,2014年の図鑑発売後に出版されたSeifert et al. (2017)において記載されたC. itsukiiと新たに日本から記録されたC. strigifrons,そして残ったC. kagutsuchiが図鑑のどの種に該当するのか,それとも上のものとはまた別の種なのかいまいち自信が持てなかった.

今回上の論文に加えてOkita et al. (2015)を読んで,本論文におけるlineage A, B=C. strigifrons=カドハダカ, lineage C=C. kagutsuchi=ヒヤケハダカ, lineage D=C. itsukii=トゲハダカでよさそうということが分かった(真面目に3つの論文読んでればフツーに気付けたことだった).
IMG_7574 (2)s
ついでに,本土に棲息してお互い分布が被っているカドハダカとトゲハダカの違いについても図鑑の検索表に書かれている形質以外に使えそうなものがOkita et al. (2015)に載っていたので追記(記載論文の方に載っていた形質のうち,両種で違いの出ているものは今回は扱ってません).これで同定できるのかは試していないので不明.

new 頭長/頭幅(平均±標準誤差)=カド(1.274±0.010)>トゲ(1.175±0.002)※日本産限定
new 前・中胸背板にある円形の彫刻の深さ=トゲカド ←やや怪しい
new 前・中胸背板にある円形の彫刻の数=トゲカド やや怪しい
   後胸溝=トゲ(わずかながら認められる)>カド(ほぼ認められない)
   前伸腹節刺=トゲ(大きく突出する)>カド(わずかに突出or角をつくって突出しない)
   腹柄節丘部前面の傾斜=トゲ(急)>カド(ゆるやか)

頭長と頭幅については一番長くなるものを測る……ので良いはず.論文によってまちまちなのでこれでいいんだ~と他の論文で見たものを当てはめると痛い目に遭う.
Cardiocondyla measurement of Head
たぶんこれでいいでしょう.間違っていたらコメントください.

さあ皆さん,レッツ同定♪

※追記
Seifert et al.(2017)では特定の形質というよりは形質の長さや比の数値を計算式に当てはめるなんだかすごい検索表が載っており,やや怪しい※を付けた形質は筆者らが他の個体も検した結果,個体差があるために使われていない可能性があります.複数個体を見て,検索表で一応カドとトゲを同定できたので,載せておきます.あまり信じないでください.
あと,検索表に載っていたら申し訳ないのですが無いようだったので前胸背板前側縁の形状が異なっていたようなので下に写真を載せておきます.
Cadriocondyla strigifrons
カドハダカアリ(C. strigifrons)?
Cardiocondyla strigifrons-Mesosoma-D
前胸前側縁はゆるやか.
Cardiocondyla itsukii
トゲハダカアリ(C. itsukii)?
Cardiocondyla itsukii-Mesosoma-D
前胸前側縁は角ばる.

引用文献
Okita, I, Murase, K., Sato, T., Kato, K., Hosoda, A., Terayama, M. & Masuko, K. (2013) The spatial distribution of mtDNA and phylogeographic analysis of the ant Cardiocondyla kagutsuchi (Hymenoptera: Formicidae) in Japan. Sociobiology, 60, 129–134.
Okita, I., Terayama, M. & Tsuchida, K. (2015) Cryptic lineages in the Cardiocondyla sl. kagutsuchi Terayama (Hymenoptera: Formicidae) discovered by phylogenetic and morphological approaches. Sociobiology, 62 (3), 401–411.
Seifert, B., Okita, I., Heinze, J. (2017) A taxonomic revision of the Cardiocondyla nuda group (Hymenoptera: Formicidae). Zootaxa, 4290: 324–356.
寺山 守・久保田敏・江口克之(2014)日本産アリ類図鑑.278pp., 朝倉書店,東京.

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uroko
ウロコアリの有翅女王(alate queen).
kitauroko
キタウロコアリの脱翅女王(dealate queen).
両者の違いは2年くらい前に書いた.女王はじっくり見ればけっこう違うが,ワーカーはほんとそっくり.
今回,この2種で想像していたことが証明されたようで嬉しい出来事があった.
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ご覧ください.
160spp
これまでに採集したアリの種数が,160種に到達しました.
なんとも微妙な区切りですが,ここから10種増やすまでに1年以上かかってしまいました.
150種を採集してから西表,神戸,秋田,高松とこれまで採集に行ったことのなかった地域に行きましたが,なかなか増やせませんでした…….
アリを採ることに苦言を呈されたこともありましたし,採集しかできないのに採集もできないのか…と悩んだ日もありましたが,アリは裏切りませんでした.

160種目は150種目と近い仲間で,憧れでもあったアリで決めることができました.
この種のゲットは採集に同行していただいた方のお力あってのもので,釣り堀採集でしたが自己採だから問題ナシ!
本当にありがとうございました.この場を借りて御礼申し上げます.
オスもメスもだいぶ増え,グループによってはオス,メスの検索表が作れるものも出てきました.
分類屋として,自分に出来ることでアプローチしていきたいです.
今後も採集頑張ります.
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