邑遊自適~好蟻性的俺~

昆虫(アリ・ハチ)を中心に綴っていく日記. コメントやリンク大歓迎です (リンクの際はご一報ください).本ブログに掲載の物事はほとんどが未発表のものであり,報文・論文への引用は固くお断りしております.引用が必要な際は状況により情報を提供いたしますので,メッセージにてご連絡くださいませ.画像の無断転載はお控えください.当ブログの管理人および記事に登場する人物は実在の人物とは基本的に無関係です.当ブログの運営に関する御意見はブログ内でのみ受け付けます.ご了承ください.

現在、自己採集した日本産アリ類(2014~)は197種(雌124種,雄75種)!!! 全てのアリをこの目に焼き付ける!!!

カテゴリ: 昆虫採集

久しぶりに松山に来た.就活だ.小倉から船でどんぶらこ.
tugakuro
真面目にきちんと話を聞いて,お土産もらってロッカーへ直行.スーツを採集道具と入れ替えて準備完了.
と,その前におなかが空いたので学部時代お世話になったうどん屋でお昼.
hanamaru
これから採集ということで3玉にはしなかったが,普通に入ったな.

松山に来はしたがもう何度も採集しているので在来線で東温市まで移動し前日の船内で目星をつけていた場所へ.まだ3月なので肌寒く虫の息吹もかすかに感じられ始めたくらいだ.
tick
畜生そうな川.ヒメバチとクモを拾ったのみ.

林縁を篩う.久々の採集だったので何が出ても嬉しいな.東温での採集はすごく久しぶりだしこれまでも多くはなかった(5年ぶり3回目)のでどれも目録の肥やしになってもらう.いつ出るかは知らん.
tameike
ため池近くの枯草も篩う.ここ数年2種ほど狙いの虫はいるものの出せていない.ふらっと寄った場所で出せるとも思えないが……目についてしまったからには篩う.
こういうとこはニセメダカハネカクシ(Stenaesthetus sunioides)が多い.個体数の割に四国の記録見つけられないが,地元大の学生かなんかが適当に記録すればいいのに.こんな環境で篩い始めたのは愛媛を離れてからだが愛媛産だけでも30くらいはある(多分人にあげてるからそんなに手元にない).
アリはこういう環境はトビシワとアミメばかり.Kyidrisとかも採れてるのを見たことあるがたまたまかな.ウロコは採れる.
30分ほどやったところで狙いの虫の1つが出た.生きてるとこんな感じなのか.早速ラインし,お土産として持ち帰る.少なくとも愛媛では未記録だ.いい虫だ.
shuhei
そこそこの成果が出たのでハネカクシの聖地のつけ麺屋へ.ここはうまい!毎日来たい!
himehamaki
夜は城.一時間ほど明かりを見たが蛾がわずかに来ていたのみ.アリはオオズを一頭だけ拾って下る.
nanpadougu
8時ごろまでアーケード街をブラブラし,バリィさんを補充し港へ.
弾丸の帰郷,そこそこの出来だった.また帰りたい.
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サンプリングのため,同期と近所の山に登った.ここには書けない装備で行った.リュックが軽くて楽だった.
bekko2
ベッコウ.写真だけ.
mijinmusi
ミジンムシ.写真を撮り終えて採ろうと思ったら見失ってしまった.よくある.
kumo2
クモも真面目に採らないとな.幼体との区別がつかないので無駄に殺生してしまって申し訳ない.
kanimusi2
カニカニ.
takipo
tamakinoko
いつもの.
arizuka2
全然採れなかった蟻塚.一桁だった.
Ceraphronioidea
翅のない蜂.ヒゲナガクロバチ上科?
koganekobati
koganekobati2
短いけどある蜂.コガネコバチ?
Idris
長いのがある蜂.Idris
gomimusi2
ゴミゴミ.
Ophryomedon crenatus
フチドリツヤケシハネカクシ(Ophryomedon crenatus).好蟻性でオオハリアリの巣からよく採れるが,篩いでもまあまあ採れるので,好蟻性ハネカクシで一番採りやすい種じゃないだろうか.普通種だが,姿はカッコいい.
コケムシ2
コケムシ
コケムシ.赤っぽかった.ムナビロも含めアリヅカより数採れた.

サンプリング対象は,自分は採れなかったが,同行した彼が採ってくれた.有難く研究に利用させていただいた.ありがとう.
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残念なことに九州には虫がいない.いると言う人もいるが,大体が他所から遠征にやって来た人で在住者にその意識はまるでない.そりゃ宮崎や鹿児島の照葉樹林,大分や熊本の草原のような"いいとこどり"だけしていればいるように見えるだろう.住んでて面白い虫を見つける人もいるが,常識的に考えて,どれだけつまらない環境でも100回も200回も行けば1つくらい何か面白いものがいなければおかしな話だ.

他県住まいの皆さまの九州遠征の主戦場は九州山地や大隅半島だ.そこへ行っては楽しかったと帰っていくし,九州は面白い,九州の人はこんなとこが近くて羨ましいなどと耳を疑う言葉を残していくが,我々北部九州民にとっては九州山地ですら2, 3時間,大隅に至っては5時間近くも要する遠方なわけで,同じ時間を東京に当てはめると南アルプスや蔵王まで行けてしまう.どこに山形や長野に行って関東は虫が多くて楽しいね!なんて言う人がいるだろうか.

好採集地へ足を運んでくださる皆さまの九州と我々の九州の感覚の問題が解決したところで,北海道から南西諸島まで採集に行った感想としてはやはり九州は圧倒的に虫が少ない.網に入る虫の数が他地域に比べて相対的に少なすぎる.いい環境に行けばそれなりに虫が入るが,本州の同じような環境なら5倍は入るだろう.それは大隅や九州山地でも同じである.南方系の虫が採れるというが,それなら南西諸島に行けばいくらでも採れるだろう.しょせん内地の一部である.かつて環境が良かったはずである昭和時代に九州で採集をおこなったハチ屋たちもその報告中で口を揃えて虫の少なさと多様性の低さに驚いていることからも少なくとも私だけの思い込みではない.

つまるところ,九州にはアイデンティティが不足しているのだ.個性がないうえに勉強もスポーツもできないダサい不良崩れといったところだ.しかしどんな人間にも少数の酔狂なファンがつくのと同じく,今日の九州に虫がいる,魅力的だと言っている人はまさに漫画では人気投票最下位キャラ,アイドルグループではソロパートを与えられない後列メンの熱狂的なファンなのだ.そういう人もいるよね,と多様性は認めざるを得ない.しかし,いくらその良さをアピールされても私には人気者の本州の採集地や虫たちの輝きに霞んだ九州や九州の虫たちを魅力的に思うことはできない.
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今日は母校の部活へ老害活動顔を出しに行った.地元に戻ったので行きやすくはなったが,既に私は22.被っている世代は当然無く,顧問も変わっている.最早部室内の道具類にしか面影を感じることが出来なくなってしまったが,さすがは同じ生物部の血を受け継ぐ者たち.私たちがやっていたようなくだらないいたずらや習慣を図らずも行っている.部活に明け暮れたあの日々を思い出しながら,懐かしい気持ちになった.
少し老人のお節介心配なのが,研究が全然出来ていないということだ.総文祭や読売の科学賞での結果が芳しくない.勿論,結果だけが全てではないのだが,内容を見てみると,箸にも棒にも掛からないといった感じである.顧問とのコミュニケーションもうまくいっておらず,果たしてこれは研究と言っていいのか....部外者になってしまった今,口出しするのははばかられるが,あまりにもあまりにもだったため少し口を出してしまった.
ようやく重い腰を上げて今年になって近場のファウナを調べることになったが,やはりいろいろと不十分な点が多い(もっと暇だったらかなり手伝えるんだけれども…).顧問と話し合えれば良いが,うまく説得できず難儀しているようだ.そこもほんの少しだけ助け舟を出すとして,リフレッシュで採集に同行した(途中一部生徒が,教師に説教をくらっていたが,あのような場で10分近くも説教するのは本当に昭和が抜けきらない化石教員である).
Camponotus vitiosus黄色い
採集地は都市部にしてはまあまあ緑が残っている場所で,根気よく通えば良い結果が得られそうであった.ほぼ自分では採集せず,採集方法とか調査方法とかをちょこっとだけ教えた.
ノブドウがたくさん咲く場所があり,あそこはかなり良さげに見えた.※かなり良いのが採れていた
Pheidole noda
調査中に激しい夕立に遭い,雨宿りしながら生徒と話していると,アリが引っ越しを行っているのが目に入った.
近いとこに居た生徒を呼んで説明.
オオズアリ(Pheidole noda)だ.私が高校時代に扱っていたアリで,こいつらと一緒に高校時代を駆け抜けた思い入れのある旧友だ.奇しくもこの引っ越しが行われていたのは私が6年前に実験用にこのアリを採集したのと大きな石の下だった.やっぱり居心地がいいのだろうか.また懐かしい気持ちになってしまった.私が人生で唯一アリを研究していた2年間の友は,今も変わらず元気にやっているようで,安心した.
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7月初め.海に行きたくなった.勿論泳ぎにではないし,女の子とイチャイチャするためでもない(水着もサンダルも高校時代から更新されていない).

海というのは,私にとってあまり身近ではなく,海に近い松山に住んでいた頃も,1回生の春に採集で行っただけ.
せっかく福岡に越してきて,海も更に近くなったので,ちょっと出かけたくなった.

電車で数駅,砂浜に到着.暑い……よく見ると,浜を大型のハチが飛び回っている.ツチバチか…そう思ってスルーしていると,一個体が砂浜に降り立った.
Bembix nipponica2
これは…ツチバチじゃない!!!
ニッポンハナダカバチ(Bembix nipponica)だ!えー!こんなに大きいの!想像の3倍くらいあった.
あちこち飛んでるやつも全部ハナダカバチか…こんなところにいたなんて…
Bembix nipponica
なかなか止まってくれないので,写真が撮れない.
turiabu
ニッポンハナダカの巣の近くに,ツリアブが産卵していた.慌てて成虫が追い払っていたが,もう遅いのかもしれない.
Bembix nipponica3
最初に観察した場所から少し進んだところに,警戒心の薄い写真向きのお二人がいた.飛んでるところとか,動画とかいっぱい撮った.

海岸は暑い.撮影していると汗だくになる.少し木陰で涼んでいると,松林から黒光りする大きな虫が飛び出した.慌ててネットを振ると,たまたま入ってくれた.
kurotama
クロタマムシ(Buprestis haemorrhoidalis japanensis).このくらい大きいタマムシはヤマトしか採ったことがなかったので嬉しかった.短いアルミロッドとシフターしか持ってない人はタマムシ採るのに向いてない.

以下見られたもの.
gomidama
ゴミダマ.ハマヒョウタンは多すぎたので割愛.
kumo
大きいクモ.クモいっぱいいたが,アルコールを持って来忘れたので何一つ採ってない.
Monomorium intrudens
ヒメアリ(Monomorium intrudens)の女王.波がすぐそばに迫る場所にコロニーがあった.こんな乾燥したとこにコロニーがあるとは考え難いので,上から流されてきたのかも.アリはこうやって分布を広げていったんですね.

真夏を前にして激暑な砂浜であったが,それに見合う成果は得られた.海で採集するのも,なかなかにいいもんだな,と思えた一日だった.
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