邑遊自適~好蟻性的俺~

昆虫(アリ・ハチ)を中心に綴っていく日記. コメントやリンク大歓迎です (リンクの際はご一報ください).本ブログに掲載の物事はほとんどが未発表のものであり,報文・論文への引用は固くお断りしております.引用が必要な際は状況により情報を提供いたしますので,メッセージにてご連絡くださいませ.画像の無断転載はお控えください.当ブログの管理人および記事に登場する人物は実在の人物とは基本的に無関係です.当ブログの運営に関する御意見はブログ内でのみ受け付けます.ご了承ください.

現在、自己採集した日本産アリ類(2014~)は197種(雌124種,雄75種)!!! 全てのアリをこの目に焼き付ける!!!

2017年09月

クシケアリの巣を求めて高い高い山へ登ったときのこと。
クシケ、いないかなぁ、と石をひっくり返しながら登山客に怪しまれながら歩いていく。
薄暗く、少し湿った斜面に大きな石が二つあった。これは何かいるぞ…期待を膨らませてよっこいしょ。
めくった瞬間に飛び込んできたのは、

アシナガアリ(Aphaenogaster famelica)。外れだ…がっかりして石を戻そうとしたとき、視界の隅に黄色い煌めきが見えた。
ん?よく見るとけっこういる。そして、アシナガアリと揉めている。
これは…!
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黄色いケアリだ!この仲間は土中営巣種とされているが、これまで友人が朽木中から捕まえたヒメキイロケアリ(Lasius talpa)、昨年この山を訪れた際にリター中から一頭だけ見つけたミナミキイロケアリ(L. sonobei)など、どれも土の中に巣があるという実感を得られなかった。しかし、今回は土の中からわらわら出てくる。まさに土中営巣。そしてコロニーということは…これは期待できるぞ。
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アシナガアリと揉める黄色いケアリ。複数種のアリが同じ石の下にコロニーを作っていることはけっこうあるが、なぜかその時点ではうまく付き合えている。人間によって石を取り去られると、隣人関係が崩壊してしまう。不思議な光景だ。

リターを掬う用のスコップで土を掘っていく。本来の用途で使われてスコップも嬉しそう。
そういえば、ひっくり返した石の隣にもう一個大きめの石がある。少し深めに刺さっている。抜こう。
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やった!あたり!黄色い煌めきがあちこちに。
よく見ると、羽っぽいものが見える。これはもしや…
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やった~!羽アリゲット!そういえば、黄色い系のケアリは秋に飛ぶんだっけ。雄も雌も大漁だ。
いくつか100%エタノールに入れ、DNAを調べる用も確保。あとは好きに吸い込んでいく。
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さぁ、同定だ。見る限り立毛は殆どなくて、光を当てると伏毛でキラキラしている。ヒメではないな。
あとは複眼の大きさだが、これはその場では確認できなかった。大きめのキイロケアリ(L. flavus)も結構小さい。
観察して写真を撮るのが楽しみだ。

※追記
ミナミキイロケアリ(L. sonobei)だった。キイロケ(L. flavus)でなかったのが残念だったが、コロニー採集できたことを考えるとかえってよかったかもしれない。
かつて対馬で採集した女王と見比べて、同定ができるかもしれない。答え合わせはワクワクする。
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aritake
ムネアカオオアリ(Camponotus obscuripes)の首筋からニョキっと伸びているものがある。恐らくアリタケの何かだろう。
この菌類は日本ではムネアカオオアリを寄主としているのをよく見かける。山地に多いアリなら他にもいるだろうに。そういえば、アシナガアリ(Aphaenogaster famelica)の女王に寄生している菌類は一度見かけたなあ。種類が違ってそうだが、寄主特異性があるのだろうか。

この個体は木にがっちり食いついていて、なかなか離れなかった。寄主操作されたいたのだろう。
ところでこの個体、前胸が黒っぽく見えるが、そういえばこの山にはニシムネアカオオアリ(C. hemichlaena)も生息していることが知られている。大型ワーカーでもないし、こやつがどっちだったかはこの状態では判断するのは難しそうだ。
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本記事はアリ好きのために書き連ねるものであり有象無象の販売業者の採集・同定を手助けするものではありません.そのあたりを業者はき違えぬよう,決して採集・同定に利用しないよう気を付けて直ちにこのページから去ること.不遜な業者および飼育屋による本記事の利用が判明した場合は即刻公開を中止します.
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チクシトゲアリ(Polyrhachis phalerata)。今は"もえすた"じゃないんだ…。
秋に飛ぶ。まさかの玄関先の壁にいた。少し林的な環境にいると思っていたが、周りにはそんな場所しばらくない。唯一考えられる場所では、この種類は得られていない。ふーむ、けっこう遠くまで飛べるのかな。

※追記
市街地で得られるチクシトゲに関する文献が見つかりました。ここでも結婚飛行で遠い生息地から飛んできたのではと考察されています。
亀山剛,2000.チクシトゲアリの羽アリ飛出時期についての記録.比婆科学,197:189.

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ウロコアリ(Strumigenys lewisi)。夏から秋にかけて飛ぶ。ウロコアリのようなハンター顔のアリに翅が生えているとなんだか不思議だ。ParaponeraMyrmeciaの有翅女王を見たのと同じ感覚に陥る。こいつらも創設時は自分で狩りをするのだろうか。
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ダルマアリ(Discothyrea sauteri)。翅付は初めて見た。というか女王自体初採集だった。秋に飛ぶのだろうか。翌年の春に飛ぶ種類は、秋ごろに羽アリを生産している種類もいる。早いところではアメイロアリ(Nylanderia flavipes)なんかはもう完全に成虫になっている。

なぜマイナー編からなのか。メジャーどころを全然捕まえられていないのだ。こっちじゃまだキイシリ飛んでません。
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アミダテントウ(Amida tricolor)。初めて採ったのは去年の台湾、次に採ったのは今年3月の西表、本土で採ったのは今回(9月)が初めて。綺麗な模様だ。
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今年の学会は愛媛で行われた。講演があるためあまり仕事をせずに済んだが、朝早く起きなければいけなかったのは非常に大変だった。

しかし、お家の布団で寝ることができるというのは本当にアドバンテージで、すごく落ち着いて眠れた。
あんな家に泊まってくれたQ大のお二方、発表練習に付き合ってくださりありがとうございました。また、2日目夜のハチ屋の懇親会は特に楽しかったです。
早く論文書きます。
あと英語頑張ります。

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