邑遊自適~好蟻性的俺~

昆虫(アリ・ハチ)を中心に綴っていく日記. コメントやリンク大歓迎です (リンクの際はご一報ください).本ブログに掲載の物事はほとんどが未発表のものであり,報文・論文への引用は固くお断りしております.引用が必要な際は状況により情報を提供いたしますので,メッセージにてご連絡くださいませ.画像の無断転載はお控えください.当ブログの管理人および記事に登場する人物は実在の人物とは基本的に無関係です.当ブログの運営に関する御意見はブログ内でのみ受け付けます.ご了承ください.

現在、自己採集した日本産アリ類(2014~)は197種(雌124種,雄75種)!!! 全てのアリをこの目に焼き付ける!!!

2017年04月

昼ご飯を食べ、場所を変えてまだまだ採集。海岸で浜の風と匂いを感じながら篩う。
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ハネカクシ。
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湿った流木を割ると出てきたケブカアメイロ(Nylanderia amia)。コロニーだったはずだが女王は落とせなかった。
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ごみだま。沢山いたけど、ウジャウジャという程ではなかった。
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ぞうりにわらじ(すいません面白くないです)。

あんまり大したものいなかったので、海浜性の虫を採ったと確認して山へ移動。
海から少し離れた山。数日前の雨の影響からかまだだいぶ湿っているが、環境は良さそう。そのあたりを何回かものすごく適当に篩ってみると、何かしらアリが入った。
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何かしらの一つ、ナンヨウテンコクオオズ(Pheidole parva)。名前が長い。かなり短縮されてブギオオズとも。

これだけ適当でも何種か入ってくるのは当たりだ。真剣に篩う。
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クビレハリアリ(Ooceraea biroi)。かなりカッコいいアリ食のアリ。この仲間では一番普通種だけど、カッコいいもんはカッコいい。
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余談だが、これまでに日本で見つかったクビレハリアリ(4種)は全部クビレハリアリ属(Cerapachys)に属していたが、去年(2016年)の論文で4属に振り分けられた。このビロイはOoceraeaという属に移動した。西表島ではもう一種、Parasysciaに属することになったクビレハリアリがいるはずだが、そちらは結局見つけられなかった。ちくしょー。
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擬死するミナミフトハリアリ(Ectomomyrmex sauteri)。こんなに大きいと擬死されてもさすがに気付いちゃうよ...。わりとじっとしてるから自然界では普通に効果ありそう。

この日はあっち行ったりこっち行ったりを繰り返したので、ここではあまり採集できなかった。またの機会に、ととりあえず宿へ戻った。テレビをつけるとちょうどWBCがやっていて、興奮しながら応援した。勝てて良かった。
日本が試合に勝った嬉しさと明日どんなアリに出会えるだろうという楽しみでなかなか眠れなかったが、なんとか意識をとばしてこの日を終えた。
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先週になってしまったが、天気がいい日に川に行ってきた。かれこれ河川敷で真面目に採集するのは2年ぶりくらいか。
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オオハサミ(Labidura riparia)。大好きな虫。小さい頃川や海で採集をしたことがほとんどなかったので、長い間図鑑の中の虫だった。周りの人はゴミ扱いするけど、私はとても大切にしている。
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紋のあるテントウ。よく川に生えてる葉の細い草本を掬うといーっぱい入った。可愛い。
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石を起こすとマルガタゴミ。テネラルかな?元々こんな感じ?
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コメツキ。一緒に写ってるのは抜け殻?
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ハバチ。あんまり土手でスイープをしなかったので、これとあと2種くらいしか採れなかった。
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吸虫管の隙間に入る人達。アリガタバチ、イッカク、テントウ?の天才・秀才・馬鹿のような三人組。
イッカクは小さな甲虫だが形は面白い。初めて採った。
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おそらくツノボソチビイッカク(Mecynotarsus niponicus)だろう。
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野口さん。今まで採ったことなかった。2mmくらいのゴミムシがほとんどだったのでこれの大きな陰を見たときは何奴!?と思った。いや、本種でも十分嬉しいけど。
ノグチアオの属名はChlaeniusとかLithochlaeniusとかHemichlaeniusとか出てきたけど、今の体系に従ったらどれが正解なんだろ。Lithochlaeniusは亜属名になってた論文もあったけれど如何に。
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変なハチだ!と思ってよく見たらアリだった。クロナガ(Messor aciculatus)。普段ならもう一週間くらい早く飛ぶものだが、これが今年の初見。今年は寒かったので遅れたのかな、とか思ったり。
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メスは飛んでるのが見えて種類が分かった上でネットインした。実は未だに県下の記録がない。こんなにいっぱいいるのに。記録といえば、カラクロ(Camponotus sachalinensis)とヒメキアリ(Plagiolepis flavescens)の標本を見てみたいものだ。うちの県、この2種の記録があるんだもんな…。


基本スイープで疲れたら石起こし、という風にやっていたが、いろんな甲虫が出てきた。多分みんな普通種なんだろうけど、普段行かない場所で採集すると、採れる虫全てが素晴らしく感じる。採集自体が楽しいのだ。
この気持ちを忘れたら終わりだな、と思う。
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今日は、これまで行ったことのない場所を攻めてきました。
初めて行く場所では採る虫全てが初採集。どれだけ採れなくてもそれだけでモチベーションを保てます(ホントに保ててるだろうか)。
前の日の雨の影響かまだ午前中で気温が低いせいか、草に露がついておりスイープすると水を吸って網がやたら重く…しかも湿ってるせいでハチの翅も濡れ、なかなか上がってこない。採りにくい…少し寒いし失敗だったか…?
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一匹のハチが網から地面に落っこちた。スギナハバチ属(Dolerus)のハバチ。こいつらは春に出てくるハバチで、この時期遠目でも見えるくらいブンブン飛んでいる。個人的にシーズンの到来を告げてくれる虫の一つだと思っている。
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いっぱい居る虫だけど、春先は採集できること自体が幸せなので、ついつい採ってしまう。
少し文献を読んで同定してみたところ、多分カタアカスギナハバチ(Dolerus vestigialis insulicola)でよさそう。

そうだ、ハバチを採ろう。いつもヒメバチ採らなきゃって気負っているが、たまには気分転換も大事。
段々気温が上昇し、草が乾いてきた。ハチが飛ぶ姿が目に見える。ハバチを狙ってスイープしていくと、ハバチはもちろん、他のハチも採れてきた。
吸虫管がハチでわちゃわちゃする様子を見て、春の訪れを感じ、こんな私に捕まってくれる間の抜けた心優しい虫たちがこんなにもいることに感謝した4月の午後を過ごした。


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P.S. 今年の松山は桜の開花がかなり遅く今が満開(少し落ちてきたかな?)。吹雪いてきた花びらを餌と間違えてかけよるクモに心が和んだ。
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西表島二日目。この日からだいぶ長い時間採集にあてられるので、少し遠くまで車を走らせる。
目的地に到着すると、車窓からてふてふが沢山飛んでいるのが見えた。これは期待できそうだ(チョウは採らないけど)。

歩いて網を振るだけで虫が飛び出してくる。すごい…さすが南の島、3月だろうと関係ない。
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こいつらは網で掬うまでもなく多いことが分かった。
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一日目に港の近所で不妊虫放飼がどうのこうのって書いてあった車が停まっていたし、このミバエはもしかして放されたウリミバエ(Bactrocera cucurbitae)なんかな、とか思いつつ進んでいく......…しかし、ミバエは入るがハチが全然入らない。まだ早いのかな…とかさっき思ったことと真逆のことを考えながら、淡々と網を振る。
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あ、そこそこの大きさの甲虫が入った。
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クビナガゴミムシだ。綺麗。雰囲気はフタモンクビナガに近いけど、エリトラの模様が全然違う。暇があったら原色めくってみよう。
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あ、カマキリの幼虫だ。可愛い。ハラビロかな。
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あ、四国にもいる奴だ。ヨツモンカメノコハムシ(Laccoptera quadrimaculata)。分布を広げている種で、沖縄でなくとも九州と四国であれば採れる。九州(地元)と四国(下宿先)にすんでいると書きつつ採ったことがなかったので、けっこう嬉しかった。うちの大学の人と縁のある虫。
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もいっこカメノコ。タテスジヒメジンガサハムシ(Cassida circumdata)。スイカみたいな模様が素敵。実はこの虫に初めて出会ったのは台湾で、そのときは海外のカメノコハムシきれ~、とか思っていたものだった…おまえ日本にもおったんかい!

そろそろハチも採らんと…
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ハチが採れないといっても、このコハナバチとメンハナバチ、ツヤハナバチは多かった(多分ほとんど同じ種だろうけど…)。そして撮ったときは気付かなかったが、
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こいつわりと絶望的だった。


ちなみに、
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同じ個体。無事に逃げ切ったというか気付かない間に他の花に移ったというか…。生きるか死ぬかは結構運だ。
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申し訳程度のチョウ要素。リュウキュウアサギマダラ(Ideopsis similis)ばかりでアサギマダラ(Parantica sita)は見たっけ…という感じだった。石垣島ではアサギマダラも少しは見たけど…。

イエローパンを置けば大量に採れるコバチやクロバチばかり集まり、せっかく網を持っている意味がないじゃないか!と思い始めたころ、目の前を黄色いのがよぎる。ハエか?いや、あの大きさと動きはハエっぽいけど見覚えがある。少し前まで杖になっていた網をとっさに振り、採った。
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キサピン!キイロヒラタヒメバチだ!こいつらは綺麗な黄色をしていることもあり人気のグループだ。南の方に多く、日本本土では採れる種はたかが知れている。
しかし!ここは西表島!きっと南西諸島でしか採れない奴だろう!同定楽しみ~!
とその場では思っていた。しかし、採集を終えてアルコールに移す際に既に嫌な予感がしていた。
予感は当たり、本土にも居る一番の普通種、ミノオキイロヒラタヒメバチ(Xanthopimpla clavata)でした。でも、綺麗なハチであることに違いはないし、本種を佐賀で初めて捕まえたときはけっこう感動したものだ。

正午になったところでご飯のため採集終了。水溜りから枯れ葉を網代わりにゲンゴロウを採ったり、大きくて綺麗なツチバチを採ったりと採集自体を楽しめた。
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大きくて綺麗なツチバチ.一回同定したけど忘れてしまった.
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車に乗る前に綺麗なバッタを見つけた。イリオモテモリバッタ(Traulia ornata iriomotensis)の幼虫だろう。モリバッタの中ではイリオモテが一番綺麗と聞いていたので見てみたかったが、少し残念なことに幼虫だった。今度は成虫を見たいな。

昼ごはん(もう何食べたか覚えてない)を食べてからは海へ向かった。結構写真を貼ったのでまた次回。今回はアリ、なし!
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先日甲子園へ母校の応援に行った日、帰りのバスまで時間があったので少し気になる場所へ行ってきた。
阪神電車からポートライナーに乗り換え、適当なところで降りる。目標は、人工島で大量に居ると聞いていた。三月の下旬、まだようやく虫たちが活動を始めるくらいの季節。しかも肌寒い曇りの午後だったが、そいつらなら間違いなくいるだろう。

しばらく歩くと、早速見つけた。といっても目的の虫ではなく、日本在来のもの。トビイロシワアリ(Tetramorium tsushimae)やムネボソアリ(Temnothorax congruus)が、こんな寒さにも関わらず一生懸命歩いていた。
だいぶ歩いた。途中おじさんに道を訊かれてビックリしたが、訊かれたのがさきほど降りた駅だったので助かった。にしても、全然いないじゃないか!うーん、まだ寒いから出てないのかな、場所が悪いのかな…。

少し雨が降り出してヤな感じになってきたとき、道路脇のアスファルトに行列が。
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これか…?この色、間違いない。こいつか…。
初対面はこんな反応だった。もっと"おおおおおぉぉぉぉおお!"みたいな感じになると思っていたが、意外とあっさり。
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アルゼンチンアリ(Linepithema humile)。言わずと知れた外来種、アリの中では虫屋、一般人問わず知名度が高い。もはや説明不要の侵略的外来種の本種は、人や物資の移動にくっついて世界に広がり、日本では1993年に広島で初めて見つかって以降日本各地で確認されている。日本では特定外来生物に指定され、世界的には世界の侵略的外来種ワースト100に選ばれるなどブラックリスト入りを果たしている。人工物に入り込む、農作物を弱らせる他、なんといっても同じ場所にすむ他種のアリを駆逐することが問題となっている。この辺はネットや本の方がはるかに詳しいのでそちらを参照ください。
参考文献
環境省自然環境局野生生物課外来生物対策室,2013.アルゼンチンアリ防除の手引き.78pp.

で、アリ屋としてこのアリに出会って思ったことは、イメージとだいぶ違ったな、ということ。アルチンを語るときに実際見たこともないのに知った風に語っていたことを恥じた。
本やネットで見て感じていたこれまでのイメージは、"アルゼンチンアリは小さく、素早く、ルリアリやアミメアリに似ている"みたいなものだった。
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左がアルチン、右がトビシワ。
まず大きさ。2mmくらい、小さい、みたいなイメージだったので、同じくらいのニセハリ(Hypoponera sauteri)とかウロコ(Strumigenys lewisi)程度の大きさをイメージしていたが、全然違った。わりとデカい。これは、コヌカ(Tapinoma saohime)もそうだがそのうに餌を貯めるとだいぶ腹部が伸長して図鑑の表記より大きく見える。トビシワと並べたが、同じくらいだ。アリ屋的には、まあまあ普通サイズだ。
次に、動き。これは早春で気温が低かったことが関係しそうだが、けっこうのろまだった。イメージとしてはアワテコ(T. melanocephalum)くらいワチャワチャしてると思っていたが、そんなことなかった。
最後に、似ている種。アミメはともかく、ルリアリは亜科も同じだし遠目からだと間違うかも…とか不安に思っていたが、杞憂だった。全然似てないよ!普通の人はともかく、アリ屋なら間違うことはまずなさそう。出会うまではサクラアリも少し似てるかも…とか思っていたが、色は少し似ていても、大きさも動きも全然違う。今後コイツが目に入ったら一発でアルチンと分かるはずだ。

本種はまだ四国では徳島で食い止められているが、いつ他県に入ってくるか分からない。入られたらどうするかよりも入られないためにどうするかを考え、行動に起こしていかなければならない。

※上の意見はアリ屋としてのものです。虫屋でもアリなんか興味ないしよく分からんなぁ…という方や、虫のこと全然分かんないという一般の方は安易に同定しないようにしてください。誤同定はかえって混乱を招きます。しかし、心配に思ったらその地域の自治体や関係機関に連絡することをおすすめします。参考文献の防除の手引きは同定の方法も載っているので、そちらもご参照ください。
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