なんだ、タイトルに書いてあるほど大きくないじゃないか、と心の声が言いそうなフツーの大きさのトンボ。
これはオオキトンボ(Sympetrum uniforme)。所謂"赤トンボ"の中では大きい。似たキトンボ(Sympetrum croceolum)よりも大きい。翅一面に色付いた黄色が美しい。特に、飛んでいるときに陽の光が当たって反射している姿には言葉を失う。
このトンボはとっても珍しく、環境省のレッドではIB類に指定されている。環境省のIB類というと、他にはルイスハンミョウ(Cicindela lewisi)や、クロシジミ(Niphanda fusca)が指定されている。全く同列に語ることはできないが、この辺と同じくらい数が減っているといっていいくらい少ない虫らしい。
私はトンボ含め水生昆虫が好きなのだが、水生半翅や水生鞘翅(正しい呼び方かは分からない)と比べてトンボは身近な種の方が愛着があり、珍しい種類は"ふ~ん、近所にはいないんだ、つまんないな"と思っていて、本種もあまり記憶になかった。
最近になってこのトンボの希少さやカッコよさに気付き、この珍しいトンボが見られる場所があると知って絶対に見てみたいと思うようになった。大学1年のときは残念ながら空振り。2年のときは時間がなくて行けなかった。そして3年となり、ついに会いまみえた。図鑑で見た姿と違って少し困惑したが、翅の色が本種であることを語っていた。感動した。しかし、もっと昔から知っていればもっと感動できたかもしれない。幼い頃には、いろんな夢を持っておくべきだったな、と思った。