邑遊自適~好蟻性的俺~

昆虫(アリ・ハチ)を中心に綴っていく日記. コメントやリンク大歓迎です (リンクの際はご一報ください).本ブログに掲載の物事はほとんどが未発表のものであり,報文・論文への引用は固くお断りしております.引用が必要な際は状況により情報を提供いたしますので,メッセージにてご連絡くださいませ.画像の無断転載はお控えください.当ブログの管理人および記事に登場する人物は実在の人物とは基本的に無関係です.当ブログの運営に関する御意見はブログ内でのみ受け付けます.ご了承ください.

現在、自己採集した日本産アリ類(2014~)は197種(雌124種,雄75種)!!! 全てのアリをこの目に焼き付ける!!!

2016年01月

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シロシタバ(Catocala nivea)。虫屋に人気のカトカラの仲間。地味な前翅とは裏腹に美しい後翅を持つ。クリーム地に黒のラインが2つ入る。カトカラの中では非常に大きく(オオシロシタバより本種の方が大きいことは有名)、ガのことをちっとも分からない自分にとって珍しくお気に入りです。
あまりにも時期外れですが白いのが雪っぽいから許して欲しいです(笑)

P.S. 余談ですが、赤目補正というのはガにも有効なんだなあ、と知りました。
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2日目。朝は私がお願いしてハチのいそうな花畑に行くことに。
メンハナバチ(これ)やハキリバチ、トックリバチが沢山いた。でも岬とあまり顔ぶれが変わらないような…。
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オジロアシナガゾウムシ(Ornatalcides trifidus)。鳥の糞に擬態していることで有名。採ったことはあったがわりと好きなのでいただくことに。
※学名は探すといろいろあったので間違っているかもしれません。2016年現在の属の所属が分かる方がいらっしゃいましたらご連絡ください。

花畑は外れてしまったので公園に戻りピットの回収。回収を始めるとすぐに先輩たちは声を上げ、沢山見つけているようだ。一方私は先輩たちの半分のコップしか埋めず、更にその半分にしか蛹粉が入っていない。果たして採れているのか…。
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入ってました。ツシマカブリモドキ(Carabus fruhstorferi)です。良かった…僕はこれを採りにきたんだ…。私、マイマイ好きなんです。美しく短い首に縁の鮮やかな翅。いい虫ですよ。対馬といえばカブリモドキしか知らなかった幼い頃の無知な私にとってこの虫は対馬のシンボル。行けば採れると聞いてはいたものの、一頭採れただけでも大満足でした。
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記念撮影。いえーい。
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おおっ!?頭隠して尻隠さず!
いいねえ……。
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これはやらせ写真。
コップの中ばかりでは少し寂しいので。
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ああ、また入ってる…。優しいことに、蛹粉の入ってないただのコップにもけっこう入ってました。東(Pheidole fervida)やツシマハリアリ(Ectomomyrmex japonica)、ヤマアシ(Aphaenogaster japonica)には目もくれず、カブリモドキとよさそうなゴミムシだけを回収していきます。
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なっ…!?ゴミムシっぽくないのがいると思いピットから引きあげた楕円の物体はヒメダイコクコガネ(Copris tripartitus)。メスなので角はありませんが、正真正銘ヒメダイコク。これも対馬の目玉です。ダイコク系はこれが初めてで嬉しかったです。
先輩たちには遠く及びませんでしたが、それでも満足できるだけ採集できました。

場所を変えて午後は山登り…のつもりだったのですが、途中から雨が酷くなりシフティングメインの私は引き返しイエローパンを仕掛けてこの日は終了。先輩方もあまり良い結果ではなかったもよう。
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トゲズネハリアリ(Cryptopone sautei)の女王。こいつは山ならどこにでもいるので見つかるとある意味安心。
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低めの木をスイープして入ったのは別の女王。これはシベリアカタアリ(Dolichoderus sibiricus)。カタアリ亜科(Dolichoderinae)のタイプ属。赤い胸部(女王は赤黒い)と四つ星をもつ腹部が特徴の樹上生活種。葉っぱの上にいるのがよく目撃されるようですが、私はまだワーカーを見たことがありません。
腹部の四つ星と樹上性、大きさ(5mmくらい)からヤマアリ亜科(Formicinae)のヨツボシオオアリ(Camponotus quadrinotatus)と間違われることが多く、ネット上や図鑑でも間違われるほどで…やれやれ。
カタアリ亜科全般に言えることかもしれませんが腹柄節(腹部と見かけ上の胸部を繋ぐコブ)と腹部の接着が弱いらしく、標本に衝撃を加えるとすぐ腹部が吹っ飛ぶ。アルコール漬けでも弄るとねじ切れる。

2日目は大きな目標は達成できたものの、不完全燃焼に終わる一日となった。
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対馬で採集したメンハナバチ(Hylaeus sp.)。南端の岬にて、すごい量が飛んでいた。
それまで私はメンハナバチを捕まえたことがなかったので喜んで採集した。四国に戻って少し探してみたが、時期が遅かったのか全く見ることができず。顔の黄色斑がなかなかカッコいい。花にとまって蜜を吸う姿はとても可愛らしい。小さいハナバチだがいい虫だ。
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去年の9月のことになりますが,冬のネタのない時期ですので対馬に遠征した話でも.

昆虫学会を終えた私は,先輩2人と博多港で待ち合わせ.奇しくも発表を行った3人での旅となった.先輩方,発表お疲れさまでした.
今回の目的地は,長崎の北に浮かぶ島,対馬.九州で育ちながら一度も行ったことがなく,初上陸となった.
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深夜0:00に港を出て,朝までしばし眠って気が付けば対馬に着いていた.意外と近い.
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レンタカーを借りに行くまでの道をだらだら歩く.

車を借りて,まずは少し小高い場所にある公園へ.そこでは対馬に住む大きくて綺麗なすんばらしい虫がいて,それを捕まえるためにコップを埋め埋め.恥ずかしながらピットフォールトラップを仕掛けるのはこれが初めて.どんな場所がいいのかどれだけかければいいのか餌はどうするのか…何も分からない状態で,なんとコップに入れる蛹粉を持たずに参戦したという.なんという無知,無能.結局先輩から少し頂いて50個かけたところでギブアップ.先輩たちは100以上かけていました.なーにコップを埋めるくらい…なんて思っていたがこんなに疲れる作業だったとは….
その後は少し公園で採集したが,こんな序盤で目的の一つを採ってしまった.
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これは…ツシマハリアリ(Ectomomyrmex japonica)!それも女王!日本では対馬にだけ生息する7,8mmほどの大型のハリアリで,ハリアリ亜科(Ponerinae)でもいわゆる"ハリアリ顔"の中では日本最大種.南西諸島には似たミナミフトハリアリ(E. sauteri)がいるが、ちょっと違うらしい.ともあれ,対馬感満載のアリ,ゲットだぜ!
…しかし,女王が歩いているということは…
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あ…いっぱいいる…
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これは……ハチ…?いいえ,これもツシマハリアリ,こいつぁオスです.たまたま結婚飛行の時期だったようで,多くの羽アリを見つけることができた.勿論ワーカーも捕まえ,最初から満足.
しばらくツシマハリアリの採集に没頭していると,手元に飛ぶ小さな虫が.
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おお,これはトフシアリ(Solenopsis japnica)の女王.秋に飛ぶことが知られているアリでワーカーは1.5 mmほどですが女王はけっこう大きいみたい.トフシも飛んでいるのか…と,空を見ると,黒くて小さな点がブンブン飛んでいるというか風に流されているというか.どうやら飛行日和だったようだ.シメシメ…
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一度網を振っただけでこれ.この粒々はサクラアリ(Paraparatrechina sakurae)のオスで,これも秋に飛ぶアリ.この他にもカドフシアリ(Myrmecina nipponica)も見つけ,羽アリを大量にゲット.羽アリというのは一年でも結婚飛行の時期にしかまとまって採れないので,普段行くことのない遠征先で見つけられたことは運が良かった.
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学会でヒメバチの話をいっぱい聞いたおかげで,やっと?目覚めた.キオビコシブトヒメバチ(Metopius browni).メンガタヒメバチの仲間はがっしりしていて好きなヒメバチだ.ヒメバチも沢山採っていこう,初日はこう思っていたが…

さて,最初のポイントでちょこっと楽しんだ我々は,島の南端の岬を目指すことに.
車に揺られて到着した岬は,見晴らしがよく有剣類がとても多そうな環境に見えた.
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まず出迎えてくれたのはウラナミジャノメ(Ypthima motschulskyi niphonica).対馬亜種だ.全国にいーっぱいいるヒメウラナミジャノメ(Ypthima argus)にそっくりだが,こちらは数が少なく本州のものは絶滅危惧種に指定されている.勿論私はファーストコンタクト.亜種とはいえウラナミジャノメ,いくらチョウに興味がないとはいえ,有名だけれど見たことのなかった昆虫を初めて見たときは,感動する.
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キマダラセセリ(Potanthus flavum).この模様,色合い,好きだ.
この他に多数のハキリバチ,コハナバチ,ベッコウバチ,トックリバチ,ドロバチ…などなどいっぱい採れたが,採ることに必死で撮ることを忘れていた.本当に沢山の有剣類に囲まれ,ああ,もうずっとここでいいや…と思っていた.先輩が採ったルリモンハナバチを採らなきゃ…と完全に頭は有剣一色.ヒメバチ採る意気込みはどこ行った.

ときは流れ夜.コンビニ弁を食らい温泉で汗を流したあとは灯火巡り.いい感じの天気で成果が期待できた.
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シリアゲアリ(Crematogaster sp.)女王の塊.こういう光景はキイロシリアゲ(C. osakensis)でしか見たことがなかったが,こいつらもやるんだなあ.
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小さなケアリ(Lasius sp.)の女王.他のラシウスが飛ばない秋であり,体長が5 mmくらい?だったことからCautolasiusの女王だと思う.結構よさげ.
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ミイデラゴミムシ(Pheropsophus jessoensis).ケラの卵を食うへっぴり虫.捕まえるときブッ!と大きな屁をかましていた.実はとてもとても好きな虫で,いっぱい見られたので幸せだった.
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スズムシ(Homoeogryllus japonicus)のメス.リーンリーンと秋の夜長にふさわしいスズムシも,野生ではなかなか見ることができない(当社比).野生のものを見たのはこれが初めてだった.普段直翅は採らないが,嬉しくて捕まえた.
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こんなのにも出会った.ツシママムシ(Gloydius tsushimaensis).対馬に行く際に気を付けておけよ,と言われていたマムシだったが,こんな開けた場所では怖さも半減.いい出会い方をした.太短くて可愛い.
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ヒラアシクサアリ(Lasius spathepus).クサアリ亜属(Dendrolasius)は気になっていたので喜んで採集.一番普通種だけどね。
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クサアリの近くを走る黄色い粒.
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これはコヌカアリ(Tapinoma saohime)!本土にもいるが今まで捕まえたことはなかった.朽木を割れば出てくると聞いていたが夜こんなに活発に活動していたとは.なんとなく感じていたが黄色いアリは夜行性なのかな.
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そしてカニ!


そんなこんなで楽しい灯火を終え,初日は終わった.
次の日,コップにいい虫が入っていることを願いながら,眠りに就いた…
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Nyambaru
Nyambaru-head
ヤンバルアメイロアリ(Nylanderia yambaru)。頭部と胸部が暗褐色で腹部は黒色。触角は長く柄節の半分以上が頭部後縁を超える。脚はふ節が乳白色。一見するとケブカアメイロ(N. amia)やリュウキュウアメイロ(N. ryukyuensis)やヒゲナガアメイロ(Paratrechina longicornis)に見えた。沖縄島の北部に生息とあり、この個体も北の方から採れたもの。他のアメイロアリ属のように広範囲に渡って生息しておらず、非常に狭い。なんでだろう…。
どこかの文献に頭部がへこみやすいとあり、これを見るまではウソだろ~、と思っていたが、本当にへこんでいて、この個体はまだマシな方。酷いものはぺちゃんこになっていた。
似たような種が多いNylanderiaにおいて、けっこう異色の存在。
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