先日,帰省して佐賀に家族旅行に出かけた.

せっかくなのでと近くの山に登って篩いをしたが,これがもう乾燥しっぱなしでぜーんぜん虫がいなかった.

なんとか見栄えのするやつは,これくらい.
Vollenhovia benzai
嗚呼,なんと地味な虫か.これはフタフシアリでもマイナーな属,ウメマツアリの仲間のタテナシウメマツアリ(Vollenhovia benzai)だ.
体長約2 mm.少し赤っぽく,マットな彫刻で特にこれといった特徴がない.しかし,関西より西の約10県ほどでしか見つかっていない地味に見られない種だ.南に行くほど多く,福岡や佐賀では普通に見られる.私は愛媛では採集したことがないが,福岡では篩うと毎回のように採れ,この間は大学のキャンパス内で採った.
近縁のウメマツアリ(V. emeryi)は朽木の中や樹皮下に巣を作りその周辺でしか見つからないのに対し,本種は土の中に巣をつくりリターからよく得られる.西南日本のリター篩いでウメマツを採ったら,こいつかもと疑うべし.
Vollenhovia benzai2
本種の特徴はココ.近縁のウメマツアリでは大きく発達する板状の腹柄下部突起がないかほとんど発達しない.和名はこの板状突起を盾とし,それがないという意味で付けられたのだろう.

さて,書くことがもうない.地味な種の宿命,書くことがないのだ.生態写真がネット上にほとんどないので,皆さんぜひ採集して美麗な写真を上げていただきたい.