卒業式以来の松山へ.採集合宿だ.来るべき連絡は来てなかったが,アリヤドリバチの回収とミュージアムで標本を見たかったので松山行きを決めた.
出発は小倉からのフェリー.博多からの電車がどっかの田舎の(大野城)駅で火災があったとかで,25分遅れ.すごーく心配になったので,先に普通に乗って待機.なんとか快速が追い付いて,出港10分前にチェックイン.
okaido
早朝の松山は,相変わらず車も人もいない.大街道には前日戦いを終えた戦士たちが倒れていたり,横断歩道に向かって土下座したりしていた.強く生きて欲しい.
katuyama
56号線の工事が終わって綺麗になってたり,持ち帰りの唐揚げ屋が出来てたりとたった2ヶ月いないだけでも変化を感じる.

7時ごろには友人の家に到着し,荷物を置いて談笑した後,朝ごはんに牛丼屋.彼は昆虫研ではなく他学部を選択し,院生をやっている.授業が大変なようだ.知り合いの近況を聞いた後,準備をして大学へ.


大学での待ち時間はものすごく長く感じた.こりゃ酷いもんだ.この環境から抜け出せて福岡に帰ってきて本当に良かった.昨年度までの自分のメンタルの強さに感服する.

採集が始まれば,一人で集中できるので一安心.件の巣を少し開けると,数匹のハチが飛来.よし,今年も大丈夫だな.
Hybrizon buccatus
アリヤドリバチ(Hybrizon buccatus).ケアリ寄生のヒメバチ.

この巣の他にハチが飛んでくる巣はないか,と付近の石をどけるも,全然飛んでこない.
川の流れのすぐそばの石をどけると,飴色のアリが見えた.
Solenopsis japonica2
トフシアリ(Solenopsis japonica)だ.河原で採れるとは聞いていたが,自分で見つけたのは初めてだった.ここに"ヤツ"がいないものか…しばらく探したが,見つけられなかった.

しかし,その黒いハチを想像した数分後,思わぬ成果を得る.
同じく河原のトビシワ(Tetramorium tsushimae)の巣を眺めていたとき,ツヤツヤした黒いものを発見する.
ん?
んんん??!?
Diapriidae myrmeco
これは…素晴らしい….トフシアリの巣にいるやつとは違ったが,これも採りたかったものの一つ.ハエヤドリクロバチ科の一種だが,翅が短い.この仲間はアリの巣で見られることもある,いわゆる好蟻性昆虫だ.
トビシワとともに見たことはあったものの,採集は出来ていなかった.初めてきちんと確認できた.これで四国とばしはなくなるな….四国を離れてから,このハチを採り損ねたことを後悔していた.まぁ,一日で好蟻性のハチを2種も見られたし,目的は達成だな.
kubotayamato
余力で石を起こし続け,アリヅカムシを見つけていく.
Batrisodellus sp.
kubotayamatokobi
Hagayasude
(上からBatrisodellus sp.,クボタヤマトヒゲブトアリヅカムシ,ハガヤスデ sp.)
ここは本当に好蟻性生物が多い.皆上に登ってカミキリとか採ってるらしいが,別にそこまで行かなくても楽しめるのだ.楽しみ方は人それぞれ,昨年も少し登ってセイボウを採って満足していたら文句言われたが,私には私の楽しみ方がある事を知って欲しい.無理か.
himemame
愚痴のお口直しに嬉しかったもの.ヒメマメザトウムシ(Caddo pepperella)だそうだ.マメザトウムシ科はおめめパッチリのザトウムシで,リターとか木の根元にいるらしい.篩いでも採れるということで,いつか見てみたいと思っていた.何度も採集しに来たこの場所で出会えるとは.しかもマメザトウムシ(C. agilis)ではなく珍しい方のヒメとは.辛い私を励ましてくれたのだろうか.
Lasius morisitai
こちらはモリシタ(Lasius capitatus)の女王.ちょっと珍しいクサアリ.光沢を持つ.

夕方ごろ,なんとも親切なことに車で下まで送ってもらい,夕飯は友人と食べた.そして飲んだ.日中のストレスが吹き飛んだ.

2日目は,博物館で標本調査.面白いことがわかった.これはネタになる.
aidaimuseum
博物館でスタッフをしている学部時代の同級生とも再会し,開催中の特別展を見学.こんな展示と幼い頃出会えていれば,もっと早くこの世界へ足を踏み入れていたかもしれない…先生の頑張りが一目で分かるしおりの案くらいは(今いる)学生たちだけで考えて欲しいもんだ
今年の夏の昆虫展とも連動しているようだ.
rame-n
夜,友人と合流して鯛めしとラーメンを食べて道後でお別れ.泊めてくれてありがとう.
また来るよ,松山.