松山での生活が残すところ3か月となった昨年12月,気軽に四国の虫を採集できなくなることを惜しみながら土をかき集める日々を過ごしていた.
せっかく四国に居たのに,ヒゲブトオサムシも,タカネルリも,メクラチビも,オオヒョウタンも,ヒラズゲンセイも採ることができなかった.四国,愛媛,松山らしい虫を何も採ることができなかった……自分の採集能力の低さに怒りと悲しみを感じながら,かの未記録科を採集した場所のツルグレンの産物を眺めていると,見慣れない形の甲虫を見つけた.
nipponomarolia matsuyamensis-
この姿,実物を見たことはなかったがすぐに何者か分かった.
マツヤマハネナシナガクチキ(Nipponomarolia matsuyamensis)だ.ハネナシナガクチキ属及び本種は三代目教授の先生が記載されたもので,属名には日本らしい名がついており,種名には松山らしい名前がついている.まさに松山を代表する昆虫といっても過言ではないだろう.
Nipponomarolia matsuyamensis
篩い採集をする自分にとって,この虫も採りたい虫の一つだった.しかし,採集される時期が冬ということもあり,寒がりで冬に採集をやらない自分にとっては縁のない虫だと思っていた.最後の最後で同情してくれたのだろうか.松山の人はよそ者にもとても温かいが,虫まで温かいのか.

調べてみると採集地は本種の既産地だった.なんの新規性もないが,採りたかった種を採ったときの喜びは何物にも代えがたい感情である.
松山で採集をやってきた甲斐があったと,これで少しは言えるだろう.