篩いをしているとアリや甲虫だけでなくハチが落ちることがある.
偶然そこにいた,というものもいるだろうが,中にはリター層が生活史と関係あるものもいるだろう.
diapri
ハエヤドリクロバチ科(Diapriidae)の一種.ハエヤドリクロバチは名の通りハエに寄生すると言われており,スウィープでよく採れ,イエローパンやマレーゼにもよく入る,身近なハチだ.
篩いで落ちる個体はリター層にいるハエの幼虫(や蛹?)を探して歩き回っているのだろう,ハチの中では一番よく目にする.余談だが,このグループにはアリに寄生する種がいくつか知られており,日本でも見つかる可能性がある.国内の種に関しては分類は手つかずだが,その内生態も含めて少しでも貢献したいものだ.
hanenashi
hanenashi2
この2つはどちらもヒメバチ.無翅か短翅のヒメバチには,アリのように見えるものもいる.しかし,長い触角をピコピコ動かしているので見間違えることはない.
私の場合,こういうヒメバチは偶然採れることがほとんどだ.こやつらもホストを探して歩き回っているのだと思う.寄生バチに寄生する高次寄生者だったかしら.
nagako
多分ナガコバチ科(Eupelmidae)の一種.アルコールに入れるとイナバウアーのような格好になる(本来のイナバウアーに反る動作はないが).
eupelmidae1
参考画像.なんか翅短い?
落ち葉の下よりも木の幹で見かけることが多い気がする.たまたまそこに居た系だろうか.こういうのが入ることもあるのが篩いの楽しいところ.いろんな虫が採れる.

他にはちっちゃーいヒゲナガクロバチ科(Ceraphronidae)がよく採れる.
ceraphronidae1
これに近い仲間のオオモンクロバチ科(Megaspilidaae)もたまに採れる.タマゴクロバチ科(Scelionidae)もよく見るし,シリボソクロバチ科(Proctotrupidae)も何回か見たことがある.
tamagokuro1
これらのハチについては採った種の生態が分かっていないものかもしれないので,一応Siftingとラベルに付け加えている.役に立つかは分からない.でも,この採集法は生態を想像しやすいし,書かないよりはいいだろう.

篩いは,空を飛び回っている虫が採れなければ派手さもないので心無い人から"つまらない採集"と言われたこともあるが,私は面白さを知っているし,何より楽しいと感じているので一生やめないと思う.目と腰に来たらやめるかも