世間がヒアリ(Solenopsis invicta)やアカカミアリ(S. geminata)の侵入で揺れる中、小さく、人を刺すこともなく、目録に載っててもさしてコメントもされないような外来種のアリが四国に侵入したことが報告された。
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英語で"ghost ant"と呼ばれている、アワテコヌカアリ(Tapinoma melanocephalum)。1.5mmと極小で動きは超素早く、他のアリだとサクラアリ(Paraparatrechina sakurae)にとても似ている。
似ているアリがいるとは言うが、頭は黒、他の部分は淡い黄色という独特のカラーリング。日本に棲む他のアリとはだいぶ雰囲気が違う。それもそのはず、このアリは元々日本には生息していなかった種類。
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しかしヒアリやアルゼンチンアリ(Linepithema humile)が南米原産とはっきり分かっているのに対し、このアリは世界に広がり過ぎて原産地が分からないという。そのくらい全世界で見られるアリだが、他の外来アリと比べそんなに問題にはなっていない。家屋害虫になるくらいには建物に侵入したり人間の生活圏に入り込みはするらしいが、特に刺すわけでもない。これなら同じ家屋害虫のヒメアリ(Monomorium intrudens)の方がよっぽど迷惑だ。そんなこんなで体色と比べて地味な扱いのアリ。

暖かい地域に多いアリなので、日本では沖縄や九州南部、あとは植物園だとか都会の建物の中だとかで見つかっていた。
このブログでも、沖縄で採集した本種の写真を上げている(石垣島採集記②参照)。
Tapinoma melanocephalum-H
頭部が黒いので、遠目からだと複眼が見えにくくなんだかのっぺらぼうのようで不気味な感じ(そもそも肉眼だと二色の粒が動いてるくらいにしか分からないが)。
melanocephalum-d
今回報告されたのは、大学のキャンパス。外来アリの多くは初め物流の多い港や空港で見られることが多いが、このような研究機関でも、様々なモノが運ばれる。今回はそれについてきたんだろう。自分も遠方に採集に行き、そこで使用した採集道具を持ち帰ってからも使うことは当然ある。そのとき、こんな幽霊を一緒に持って帰らないようにしなければ。

四国での報告は、
久末遊,2017.アワテコヌカアリを四国で採集.蟻,(38):27-30.
に載っている。
ネット上にはPDFもタイトルも出回っていないので書き留めておく。