この日の夜はとてもむし暑く、それでいて風は全く吹いていませんでした。こんなコンディションの初夏の夜には、いくつかのアリが結婚飛行を行います。ベストなタイミングを逃す手はない。よし、出かけよう。
決心したのが夜中の1時。正直行くか迷いましたが、行かずに後悔するより行って後悔しろ、と何かが叫んだのでヘッドライトと吸虫管を手に、自転車のペダルをこぎ始めました。

5分ほどで目的地に到着。真夜中なので灯りは少なく、ポツポツと等距離に置かれた電灯に虫が集まっています。
電灯の光だけでは弱いので、持ってきたライトで照らします。
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きてるきてる。ハヤシケアリ(Lasius hayashi)です。オスは見られませんでしたが、有翅女王はかなりの数見られました。たまに写真のように淑女の集まりを開いているものもいます。
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これはアシナガアリ(Aphaenogaster famelica)の女王。実は翅があるものは初採集でした。ハヤシケアリより大きく立体的です。この場所には似た姿のヤマトアシナガアリも生息していますが、結婚飛行の時期がアシナガよりもだいぶ遅い(9月頃)ので判別できます。
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ハヤシクロヤマアリ(Formica hayashi)。夜でもおかまいなしに活動しています。アリは日中活動して夜は巣の中でひっそり…というイメージがなんとなくありますが、わりと日中活発に活動している種も元気にうろついています。うろついて何をしているかというと…
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これです。飛行があるということは、大量の餌が現れるということ。これはクロオオアリ(Camponotus japonicus)ですが、電灯の周りをうろついて、ハヤシケアリの女王を捕らえました。女王は栄養満点でしょうね。
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こちらではキイロオオシワアリ(Tetramorium nipponense)が同じくハヤシケアリの女王を襲っていました。たくさんの羽アリが巣を作るために飛び立ちますが、巣作りのスタートラインに立つことができる個体でさえ極少数です。
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さきほどアリは昼も夜もかまわず活動する、と書きましたが、夜の方が活発な種もいます。このキイロオオシワアリやキイロシリアゲアリ(Crematogaster osakensis)は、日中よりも多くの個体が、日中よりも目立つところを活発に歩いています。2種とも夜行性とは言われていない(はず)ですが、なんとなく夜の方が元気な気がします。実際に夜行性が知られる種としては、ミカドオオアリ(Camponotus kiusiuensis)やアメイロオオアリ(C. devestivus)などがいます。これらの種類を比較するといくつか共通点が見つかってきます。パソコンに向かって論文を読みながら考えるのも良いですが、こうやって実際のフィールドで観察したことからああだこうだ考えるのも楽しいものです。

結局ハヤシケアリとアシナガアリ、それとオオハリアリ(Brachyponera chinensis)の3種しか飛行を確認できませんでしたが、久しぶりの夜の蟻探しに、必死にアリを探していたころの感覚を思い出しました。頑張らないと。